3DCG/2025.03

EXPO2025大阪万博 展示作品

Expo 2025 Osaka Kansai Exhibition Work

TypeClient Project
Clientまねき食品|xRsion
Key ToolsAdobe Photoshop, Adobe Premiere Pro, Unreal Engine 5, Blender, ZBrush, Adobe Substance 3D Painter, Adobe Substance 3D Designer
EXPO2025大阪万博 展示作品

本プロジェクトは、「失われつつある日本の原風景(The Archetype of Japan)」をテーマに、神社仏閣の静謐さと昭和レトロな街並みの温かさをデジタル空間上に再構築した、ハイエンドな映像インスタレーション作品。 万博という未来志向の場において、あえて過去の記憶(ノスタルジー)を高精細な3Dアートとして提示し、技術と伝統の融合を表現しました。

本プロジェクトにおいて私は、環境アーティストとして、コンセプトの立案からアセット制作、Unreal Engine 5上でのレベル構築および最終レンダリングまでを一貫して担当しました。「記憶の中の風景を、現実以上の密度で蘇らせる」ことを目標に、以下の3つの軸で制作を行いました。

1. Bespoke Cultural Assets (完全オリジナルの文化財モデリング)

既存のアセットライブラリやフォトグラメトリには極力頼らず、神社の鳥居、石灯籠(Ishidoro)、そして参道の石段に至るまで、ほぼすべての構成要素をゼロからモデリング(Scratch Build)しました。 ZBrushを用いたスカルプティングにより、石の風化や苔の浸食、木材の経年変化といった「時間の堆積」を詳細に刻み込み、Substance 3D PainterによるPBRテクスチャリングで、至近距離の鑑賞にも耐えうるリアリズムと「神聖な気配」を具現化しています。

2. Narrative Environment (昭和ノスタルジーの空間演出)

神社の静寂と対比させる形で、昭和中期の日本の街並みを制作し、人々の生活の息遣いが感じられる空間を設計しました。 錆びた看板、使い込まれた建具、路地の電柱など、時代考証に基づいたプロップを配置することで、単なる背景ではなく「物語を語る空間(Environmental Storytelling)」を構築。見る者の記憶の琴線に触れる、湿度を含んだ情景描写を徹底しています。

3. Cinematic Lighting & Composition (情動的なライティング設計)

Unreal Engine 5のLumen(動的グローバルイルミネーション)を最大限に活用し、日本の原風景特有の「陰翳礼讃(Praise of Shadows)」を表現しました。 夕暮れ時の淡い光や、木漏れ日のコントラスト、石段を照らす灯籠の柔らかい明かりなど、物理的な正しさ以上に「感情に訴えかける光」を設計。また、視線を自然と鳥居の奥へと誘導する構図(Leading Lines)を意識したレベルデザインを行い、没入感を高めています。

伝統的な日本の美意識を、最新のリアルタイムレンダリング技術によって再定義し、世界に向けて発信した渾身の環境アート作品です。

Figure 1
Figure 2